2023年(令和5年)度の経産省系カーボンニュートラル促進の設備投資関連施策

経済産業省は令和5年度もカーボンニュートラルの設備投資関連に対して予算を設けています。
ただ、各補助金に対して細かな基準があり複雑な内容であるため理解するのに苦労するという企業も多いでしょう。
今回は、投資関連の補助金を詳しく説明していきますので参考にしてください。

目次

カーボンニュートラルとは

カーボンユートラルってよく聞くけど、実際なんなの?

カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出を全体としてゼロとするというものだよ!排出せざるをえなかった分については同じ量を「吸収」または「除去」することで、差し引きゼロを目指しているよ。

温室効果ガス?

大気中に含まれる二酸化炭素やメタンなどが温室効果ガスと言うよ。

ちなみに、もう一つ似た言葉でよく聞く脱炭素とは違って、カーボンニュートラルは二酸化炭素だけではなくメタンや一酸化炭素、フロンガスを排出ゼロにすることが目的になっているよ。

そうなんだ・・!地球の歴史規模で考えた時に、経済や技術の発展はすごいスピードで発展してきたけど、、その技術進歩の代償は近年、世界的に問題となっている温暖化等の環境変化だから、すごく重要なトピックだね。

その通り!みんなが暮らす地球のためにも、世界規模でカーボンニュートラルを考えて行くことが必要なんだ。

令和5年度カーボンニュートラルの動向

和5年度の脱炭素対策概算予算額として1,357億円を提示しています。
カーボンニュートラル成長戦略は日本だけではなく世界規模の戦略です。

ロングスパンで考えられ2020年から30年後の2050年には温室効果ガス実質ゼロを目指します取り組みです。
日本ではカーボンニュートラルは経済産業省を中心に、各省庁と連携して活動していくとしています。

民間企業や研究所などカーボンニュートラルに対して取り組む場合には、設備投資にかかる費用は大きいものです。
しかし、企業が考えるだけではなく、国の支援があることも知って賢く活用していくのが得策と言えるでしょう。

参考資料:環境省脱炭素ポータル 令和5年度の脱炭素対策概算予算額
https://ondankataisaku.env.go.jp/carbon_neutral/topics/20220922-topic-32.html

経済産業省が脱炭素をすすめる理由

脱炭素をすすめる理由として1番の題材になるのは、環境問題ではないでしょうか?
生活インフラが発達していくなか温室効果ガスの排出は比例してしまいます。
環境問題に対して個々に判断を求めるのではなく、
国全体として考えていかなければならない問題だと考えています。

カーボンニュートラルのメリット

企業がカーボンニュートラルに取り組むメリットとして5つ挙げることができます。

1. エネルギーコストの削減

エネルギーコストを削減するには、抜本的な設備投資や生産計画を打ち出すことによって光熱費や燃料費等のエネルギーコストを削減することができます。

2. 競争力の強化、取引先や売上拡大

排出削減を求める企業が多くなってきているなか、そうした企業に自社製品を訴求することができます。
訴求力が高まることによって競合他社との差別化や新規取引先の獲得にも繋がります。

3. 知名度や認知度の向上メリット3

カーボンニュートラルへの関心が高まっている世の中で、
排出削減に成功した企業はメディアに取り上げられる場合があります。
メディアに取り上げられることにより企業に対しての注目は高まるので、売上向上にも期待できます。

4. 資金調達において有利に働く

投資や融資をする際に、カーボンニュートラルは地球の気候変動に対し国が支援している取り組みのため、脱炭素で金融機関を利用する場合は融資を優遇してくれる場合があります。

5. 社員のモチベーションや人材獲得力の強化

世界が取り組む事業に参加することで従業員の意識向上へ繋がります。
さらに、企業としてカーボンニュートラルに取り組んでいることで環境問題に興味をもつ優秀な人材や、専門的な知識を持った人材の獲得が見込めます。

カーボンニュートラル設備投資補助金

企業がカーボンニュートラルをすすめるには設備投資にかかる費用が重要な課題です。
排出削減を計画しているが、費用面を考え足踏みしている企業も多いのではないでしょうか?

そんな企業のために国は補助金制度に多く取り組んでいます。
これから説明していく内容を理解することで、排出削減へ取り組むきっかけとなりますので参考にしてください。

設備の入替や新設・増設に対する補助金

設備の入替や新設、増設に対する補助金制度は以下の4つです。

制度① ものづくり補助金(グリーン枠)

取り組みイメージとして、植物由来の特殊プラスチックを設備投資をおこなう場合

  • 石油使用量の削減によってCO₂を削減に取り組む
  • 顧客ニーズに応じたデザインの設計と機能性を向上させ付加価値をつける
  • 生産性プロセスの効率化を図り、労働生産性を向上させる

以上のようなイメージです。

温室効果ガスを削減する設備やサービスを開発する費用や、脱炭素をすすめるプログラムやサービスを開発するために必要な費用に対して補助金がでます。
対象要件は、5つ項目がありますが以下で説明する項目は3〜5年の事業計画が必要です。

付加価値額

ものづくりにかかる付加価値とは営業利益人件費
減価償却費を示し、年間平均の伸び率を3%以上にする計画が必要です。

給与支給総額

従業員の給料総額年間平均1.5%にする計画が必要です。

事業場内最低賃金

各地域で算定されている最低賃金を30円以上、上回っていることが条件です。

事業場単位での炭素生産性

会社全体での炭素生産性を年間平均1%増加させる計画が必要です。

削減計画を書面で提出

温室効果ガス削減への計画書を提出することが必要です。

制度② 省エネ補助金

省エネ補助金は企業がエネルギー消費が高い設備に更新する場合に補助金がでます。
対象要件として事業内容が4つに分けられます。

先進事業

先進設備や管理システムの更新。
補助金限度額15億円が支給されます。

オーダーメイド型事業

設置場所に合わせた設計が必要な設備への更新。
補助金限度額15億円が支給されます。

指定設備導入事業

省エネ補助に対する指定の設備へ更新。
補助金限度額1億円が支給されます。

エネルギー需要最適化対策事業

エネルギーマネージメント事業者と契約して、EMSを導入して省エネをすすめること。
補助金限度額1億円が支給されます。

制度③ CEV補助金

CEV補助金とはクリーンエネルギーを使用している自動車を購入した場合に購入費が補助されます。
対象要件は、対象者となる電気自動車や燃料電池自動車、プラグインハイブリッドの購入が補助金の対象です。

補助金の内訳は自動車の車種により違います。

  • EVは85万円
  • 軽自動車EVは55万円
  • PHEVは55万円
  • FCVは255万円

制度④ 脱炭素社会の構築に向けた ESGリース促進事業

ESGリース促進事業とは脱炭素を目的とした設備をリースで設置した際に補助金を受けることが可能です。
対象要件は、対象となるリース先及びリース契約であることと、対象となる脱炭素設備であることが要件です。
補助金の内訳は、対象の設備に違いがありますが基本的には総リース額の1〜4%が補助されます。
追加としてリース先やリース事業者のESG活動状況によって1〜2%補助金が上乗せされます。

再エネ電気を使用の補助金

再エネ電気の使用補助金制度は以下の2つです。

太陽光発電導入補助金

太陽光発電導入補助金とは、太陽光発電などの再生可能エネルギーを導入したい事業者に対して設備投資を支援します。

取り組みイメージとして、地域の工場、自動車販売店や飲食店などの重要家を例に上げた場合、地域に根付いた発電事業者や小売電気事業者が太陽光発電書を新設します。

事業者と需要家は8年間の利用契約を結ぶといったイメージです。

対象要件は、太陽光発電を新設する際2MW以上の発電能力がある設備を導入することと、8年以上一定量の利用をすることが条件です。

補助金内容は、通常型だと設備投資金額の1/2位内の補助金、自治体と連携したものだと2/3以内の補助金を受けることが可能です。

自家消費型太陽光発電・蓄電池導入補助金

自家消費型太陽光発電設備とは、太陽光で発電した電力を電力会社に売ることなく電気を使用する設備のことを示します。
補助金を受ける要件として、太陽光発電を設置した私有地以外で使用せず、私有地内で電力を使用することとされています。

太陽光発電には、電気を貯蓄しておくための蓄電池も必要です。
蓄電池も導入しなければ、補助金を受けることができません。

補助金の内容は、PPAとリースによる補助金額は1KWあたり5万円の補助設備購入をした場合に関しては1KWあたり4万円の補助を受けることが可能です。

ただし、補助金上限は2,500万円までです。

設備やソフトウェア等を導入するための補助金

設備やソフトウェア等を導入するための補助金制度は次の通りです。

事業再構築補助金(グリーン成長枠)

取り組みイメージとして、自動車整備工場を例に上げた場合、新たに電気自動車整備に対応するため電気系統設備を導入し専門家を招いて講習会をおこなって整備士のスキルアップをするイメージです。

グリーン分野で建造物や機械設備、管理の構築において事業を再構築する場合にかかる費用を補助金がでます。申請対象事業所としてコロナが大きく関係してきます。

コロナ以前から売上が減少していて、事業再構築に取り組むにあたり認定経営革新支援機関と事業計画を設定することが条件です。

補助金は、通常の要件を必要とするスタンダードと要件が緩和されるエントリーに分けられエントリーは緩和されている分、補助金は下がります。

補助金の内訳です。

エントリー中小企業が対象

  • 従業員20人以下を対象に100万円から4,000万円
  • 従業員21人から50人を対象に100万円から6000万円
  • 従業員51人以上が対象100万円から8000万円

エントリー中堅企業が対象

  • 100万円から1億円

スタンダード中小企業が対象

  • 100万円から1億円

スタンダード中堅企業が対象

  • 100万円から1.5億円

排出量等を把握するための補助金 

排出量等を把握するための補助金制度は以下の2つです。

IT導入補助金

IT導入補助金とは、温室効果ガスの排出量を効率よく管理するための管理システムの導入にかかる費用の補助です。
取り組みイメージとして2つ上げます。

工場での排出量を算定する場合

算定ツールを導入し適切な排出削減設計を計画し、工場単位での排出量の算定、管理するイメージです。

エネルギーマネジメントを導入する場合

求められる精度で製品単位排出量を算定し生産性を向上させるイメージです。

補助金対象企業は中小や小規模事業者が対象となり、排出量を削減する目標値を1年後に3%、3年後に9%削減を数値として資料提出する必要があります。

IT導入補助金はA類型とB類型に分けられ、2つの違いは管理ソフトウェアの導入数です。
Aはソフトウェアを1つで150万円、Bはソフトウェアを4つで450万円を条件として補助金を受けることが可能です。

SHIFT事業

SHIFT事業とは事業所で今使用している設備や燃料を、
CO₂を削減する設備へのSHIFTする計画に対して費用を支援するものです。
補助金を受ける際、SHIFT事業として3つに要件が分類されます。

標準事業

設備更新をしてCO₂を30%削減する計画を提出しなければならない。
設備補助上限として1億円の補助を受けることが可能です。

大規模電化、燃料転換事業

電化と燃料を対策設備に更新し、CO₂排出量を30%以上削減と年率4,000t以上削減する事業計画を提出すること。
設備更新上限として5億円の補助を受けることが可能です。

中小企業事業

中小企業がCO₂削減設備更新の計画を提出すること。
設備更新上限として5000万円の補助を受けることが可能です。

上記の他、事業計画を進める際にかかる計画費用は上限100万円。
DX型計画では、上限200万円まで補助を受けることが可能です。

参考資料:中小企業のカーボンニュートラル支援策参考元4ページ~6ページ参照https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/global_warming/SME/pamphlet/pamphlet2022fy01.pdf

経産省が薦めるカーボンニュートラル相談窓口

カーボンニュートラルの取り組み方がわからない企業や、
効率よく排出削減に取り組む方法など経済産業省が薦めている相談窓口があります。

相談窓口は以下の3つです。
今持っている課題に照らし合わせて利用してください。

省エネお助け隊

省エネお助け隊とは、これから省エネ対策を考えている事業者に相談から計画、相談までサポートできる団体です。
サポートまでの流れは以下の通りです。

事前ヒアリング


事前打合せ

省エネ診断、支援

省エネお助け隊の利点は、無料で何度でも経験豊富なアドバイザーに相談できることです。
全国から相談できるようにオンライン相談窓口が準備されています。

省エネ最適化診断

省エネ最適化診断とは、省エネ診断と再エネ提案を実施した事業者に対して診断内容から改善提案を説明し、省エネに対する取り組みと再エネの導入についてフォローアップするサービスです。

省エネ最適化診断を受診すると、設備導入での有効性が設計できているため省エネ設備導入補助金の加点評価を受けることができます。

省エネルギー診断

省エネルギー診断とは建物全体の各エネルギー使用状況や設備の稼働状況を診断し、
事業者に最適な省エネ対策を提案するサービス
です。

短時間で診断でき、顧客に合わせた設備へ最適なプランを準備できます。

参考資料:中小企業のカーボンニュートラル支援策参考元7ページ~9ページ参照https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/global_warming/SME/pamphlet/pamphlet2022fy01.pdf

カーボンニュートラル補助金のまとめ

今回の記事ではカーボンニュートラルについて説明してきました。
カーボンニュートラルは日本国内ではなく、世界で取り組みを進めている政策です。

カーボンニュートラルを進める中で設備投資や人工など企業が追わなければならない負担は大きくなります。
国全体で考えなければならない排出削減の取り組みは今や、国の歩み寄りなしでは進めることはできません。

国はカーボンニュートラルへの取り組みに対して補助金を用意し、企業とともに大きく動き出そうとしています。
今回の記事を読んでいただき、補助金の詳細についてよく理解して地球規模で考えられているカーボンニュートラルへ取り組んでいきましょう。

まずは動き出すことが大事!
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この記事を書いた人

Dステ編集部は、編集長であるDuoPartnerDesignの松口を中心に、環境教育を履修・資格取得したメンバーで構成されています。環境問題とビジネスの関係や、SDGsに対する幅広い情報・知識を、できるだけ専門用語を使わずわかりやすい言葉で皆様に共有します。また、こうした情報・知識をいかにして企業の広報やブランディングと繋げていくのかを常に考え、役立つコンテンツとして発信していく考えです。

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