専門家に聞く【中小企業が省エネ補助金を申請するなら令和6年が狙いめ】なワケは?

大企業に比べて出遅れ感をお持ちの中小企業もまだまだ多い「脱炭素経営」。重要な経営課題ですが、設備の導入や開発などには多額の費用が必要です。しかし、今後の事業発展や地球環境保全には脱炭素を進めることが大前提。

また、2028年に導入される見通しの「カーボンプライシング」も気になるところですよね。そんなジレンマを解消するのに役立つのが省エネ補助金です。

今回は、中小企業の脱炭素を全力でサポートしている、ほっとコンサルティング株式会社の代表、深澤様へ、Q&Aを交えて、中小企業が令和6年度に省エネ補助金を申請すべき理由について聞いてきましたので、その理由をわかりやすく解説します。

*当記事は”脱炭素経営をご支援される、ほっとコンサルティング株式会社代表深澤様のご協力を得て執筆しております。公式サイト▶︎https://hotconsul.net/

目次

【まずはおさらい】GX推進法とは?

GX推進法とは、「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律案」の略称です。

なかなか難しい名称ですが、2050年のカーボンニュートラル実現に向けた方向性はもちろん、今後の経済発展のキーワードとなる「GX投資」を推進することにより、国際社会の中で産業競争力を高めていくための指針をまとめたもの、とお考えください。

そもそも、GXはグリーントランスフォーメーションの略。温室効果ガスなどを再生可能エネルギーに転換するための取り組みのことをいいます。

GX推進法は、単に温室効果削減に向けた活動についてではなく、脱炭素に特化した国債の発行についてや、企業の脱炭素の進捗評価などについてもとりまとめています。

省エネや脱炭素は、もはや経済発展の鍵を握る重要な要素ととらえられており、中小企業も今後はますますこうした流れに沿って事業を推進していくことが求められるのです。

令和6年度はGX分野に2兆円の予算

環境省がとりまとめた、環境保全にかかる経費の総額は何と2兆1,427億円。「地球環境の保全」のカテゴリー内では、企業に対するさまざまな補助金に多くの予算がつけられましたが、中でもGX関連予算は前年に比べかなり増額されたことが令和6年度予算の大きな特徴です。

この増額によって、令和6年度の概算要求額は令和5年度当初予算比+30.7%(+5,028億円)となりました。このような点からも、国のGX分野への力の入れようが伺えます。

【ほっとコンサルティング深澤氏に聞いた!】中小企業が令和6年度中に省エネ補助金を申請すべき理由

GX関連予算額が前年に比べて大幅に増えた令和6年度ですが、そのうちの多くを占めるのは企業向けの補助金などです。ここでは、「中小企業が省エネ補助金を申請するなら経産省の省エネ補助金を令和6年度中に申請するのがおすすめ」と語る「ほっとコンサルティング」代表の深澤氏にその理由について聞きました。

GX関連補助金の予算は経産省に集中している

そもそも、環境省の補助金もありますが、深澤様はなぜ経産省の省エネ補助金推しなのですか?

深澤様:おっしゃるとおり、経産省だけでなく環境省にもSHIFT事業と呼ばれる脱炭素の取組みに使える補助金制度があります。ですが両者を比較すると、ついている予算額の桁が違うんですね。経産省の方に申請した方が通りやすいと思いますよ。

なるほど、そういうことなんですね。中でも令和6年度の申請をおすすめになる理由は?

経産省の省エネ補助金は令和6年度から令和8年度の三か年に集中的に総額7000億円の予算が振り分けられる予定で、令和6年度は2300億円と、例年の同補助金予算の10倍近くに増加されているためです。

複数年度で使い勝手が良い制度である

経産省の省エネ補助金は複数年度にわたって使えるということですが、どういう意味なのでしょう。

設備は単に汎用品を導入するだけでなく、開発・設計・設置工事など一定以上の期間を使ってようやく稼働に至るケースもあります。そうしたケースに対応するには、最初に申請しておけば、あとは年度をまたいで伴走的に補助金が受け取れる仕組みが必要ですね。

経産省の補助金はそのような仕組みになっていると?

そうです。複数年にわたる投資計画をシームレスに円滑に進めることができる、とても使い勝手の良い制度といえます。

【中小企業優遇】先進設備やオーダーメード型設備に使える

ーーそもそもこの経産省の省エネ補助金は、どのような事業について申請できるのですか?

そこが非常に幅広いので、多くの企業におすすめなんです。GXといいますと、大企業が先進的な設備を大掛かりに開発したり、巨額の費用を投じてオーダーメード設備を製作するようなイメージもあります。

ですが、経産省の省エネ補助金はこうした大企業の「設計を伴う事業」に使える一方で、中小企業の単純な設備の更新にも大変使いやすい制度設計となっているんですよ。

設備の開発やオーダーメードにも充てられる一方で、短期間で導入できるユーティリティ設備にも使えるのであれば、中小規模の事業者も積極的に申請すべきですよね。

はい、工作機械などの生産機にも使えます。本当に使い勝手が良く人気の補助金なので、申請するなら令和6年度の早いうちがいいですよ。

ユーティリティー設備や生産設備の要件&申請のハードル低め

中小企業にとっても脱炭素に取り組む好機にできそうな経産省の省エネ補助金ですが、申請して採択される可能性はどのくらいあるのでしょうか。

こればかりは「絶対」ということはありませんが、こちらの補助金は大企業向けのA・B事業も、中小企業におすすめのB・C事業も、要件と申請ともにハードルは高くありません。

A・B・C・D事業の令和5年度の採択率を深澤様がまとめてくださいました。

はい、下表をご覧ください。いずれも高水準の採択率となっています。これは申請しない手はない、とお思いになりませんか?

A・B・D各事業の申請・採択結果について

一次公募
申請件数採択件数採択率採択金額合計計画省エネ量
A:先進事業
B:オーダーメード型事業
D:エネルギー事業最適化対策事業
56件53件94.6%270.6億円475,75.2kl
二次公募
申請件数採択件数採択率採択金額合計計画省エネ量
A:先進事業
B:オーダーメード型事業
D:エネルギー事業最適化対策事業
60件46件76.7%270.6億円793,16.9kl
一次公募
申請件数採択件数採択率採択金額合計計画省エネ量

C:指定設備導入事業
1,920件 1,307件 68.1%129.6億円20,785.6kl
C:指定設備導入事業+D:エネルギー事業最適化対策事業3件2件66.7%0.4億円
二次公募
申請件数採択件数採択率採択金額合計計画省エネ量
C:指定設備導入事業1,622件1,515件93.4%95.6億円130,40.3kl
C:指定設備導入事業+D:エネルギー事業最適化対策事業3件3件100.0%0.2億円130.9kl

確かに、一次公募も二次公募も、大変高い採択率をマークしているのがわかりますね。

はい、大きな予算がつけられている補助金なので、その分申請が通りやすいことも魅力なんですよ。

大きな予算といっても限りがあるので、申請するなら早めがいいですね。

ですが、事前の加点対策も必要ですので、準備もなく慌てて申請することはおすすめしません。弊社の解説動画では、さらに詳しく申請のタイミングや加点ポイントについて触れていますので、よろしければ参考にしてください。

ほっとコンサルティング深澤様が今回話題となった経産省の省エネ補助金申請についてわかりやすく解説されている動画も、併せてチェックしてみてくださいね。

まとめ:省エネ補助金申請を通りやすくするには専門家のサポートがおすすめ

今回は、脱炭素に関する補助金サポートのプロフェッショナル「ほっとコンサルティング」の深澤様にいろいろと伺いながら、令和6年度の経産省の省エネ補助金を申請すべき理由などについてお伝えしてきました。

ほっとコンサルティング様では、補助金申請を通りやすくするための鍵となる事前準備のほか、その後の税制優遇に関するサポートを受けることも可能です。脱炭素経営を賢く推進したい中小企業の経営者様は、ぜひ経産省の省エネ補助金申請を検討してみてください。

補助金申請に関するお困りごとは、Dステ事業部へもお気軽にお問い合わせくださいね。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

Dステ編集部は、編集長であるDuoPartnerDesignの松口を中心に、環境教育を履修・資格取得したメンバーで構成されています。環境問題とビジネスの関係や、SDGsに対する幅広い情報・知識を、できるだけ専門用語を使わずわかりやすい言葉で皆様に共有します。また、こうした情報・知識をいかにして企業の広報やブランディングと繋げていくのかを常に考え、役立つコンテンツとして発信していく考えです。

目次