【取り組み事例は?】企業の脱炭素経営側には”環境教育”が必要

中小企業にも脱炭素経営が求められるようになった今、経営サイドは従業員などに対する環境教育にも力を入れる必要があります。環境教育を伴わずに、社員などに対してただやみくもに「脱炭素」「環境活動」などと言っても、なかなか同じ温度でついてきてはもらえないかもしれません。

さまざまな取り組みを通じて環境教育を行うことは、会社にとっても大きなメリットとなります。

今回は中小企業に求められる「環境教育」の必要性や環境教育がビジネスにもたらすメリット、環境教育の具体的な事例などについてご紹介します。

2050年カーボンニュートラルに向けた活動の一環として、
ぜひ参考にしてください。

目次

企業は環境教育をリードしていく立場にある

SDGsやサステナブルという言葉の認知度が急速に高まっている昨今。持続可能な開発のための教育「ESD(Education for Sustainable Development)」の必要性に注目が集まっています。

文部科学省によると、ESDとは『気候変動、生物多様性の喪失、資源の枯渇、貧困の拡大等人類の開発活動に起因する様々な問題』を主体的にとらえ、こうした諸問題の解決のために行動できる人材を育てることを目的とした教育・学習活動のことです。

企業という存在は社会への影響力が大きいため、率先してESDに取り組むことで社会貢献ができます。中でも環境に関する教育活動は、2050年カーボンニュートラルという共通目標があるという点においても、優先的に実施すべきものです。
そもそも企業が環境教育を行う必要性については、法律の中でも触れられていることをご存知でしょうか。「環境教育等促進法」は、この法律の前身にあたる「環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律」が改正されたもので、この法律の中では、「環境教育」とは何かが定義されています。

環境教育等促進法の中で定義された「環境教育」

環境教育等促進法の第二条第三項では、環境教育について次のように定義しています。

”持続可能な社会の構築を目指して、家庭、学校、職場、地域その他のあらゆる場において、環境と社会、経済および文化とのつながりその他環境保全についての理解を深めるために行われる環境の保全に関する教育及び学習”

環境教育等による環境保全の取組の促進に関する法律
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=415AC1000000130

環境教育等促進法は、あらゆる立場の人がそれぞれの生活の場で
環境教育を実践していくことを求めています。
企業を含めた私たち現代人は、
環境の犠牲の上に成り立ってきた近現代の経済活動を真摯に反省し、
環境負荷を低減するための取り組みを行っていくことが重要です。

【メリット多数】企業が環境教育を実施すべき納得の理由とは?

企業や事業者は環境教育を行っていくべきことは環境教育等促進法の中でも促されていますが、言われるまでもなくこれからの企業には、率先して環境教育を行うことがますます重要になってくるでしょうそれはなぜか。

ここでは、中小企業が環境教育を実施すべき理由や、環境教育によって得られるメリットについてご紹介します。

脱炭素推進には社内の環境に対する意識共有が必要だから

2050年カーボンニュートラルに向け、中小企業の取引先となる大企業では、すでに脱炭素への取り組みが当たり前のように推進されています。大企業は取引先の脱炭素状況が自社に大きな影響を及ぼすため、中小企業も脱炭素への取り組みを強化しないと、将来的に競争に勝てなくなるおそれが高まっているのは皆様もご存知のことでしょう。

大企業に比べると、社内の脱炭素に対する意識が未だに低いという中小企業は少なくありません。環境教育で脱炭素への取り組みがいかに必要であるかを社員に対して啓蒙することは、脱炭素経営を推し進める上でのメリットとなります。

地域社会とのコミュニケーションを図れるから

環境教育とは、自社内でのみ行うものとは限りません。顧客や地域を巻き込んだり、教育機関などとコラボレーションしたりしながら行うことも可能です。こうした取り組みが、自社がどんな環境活動を行っているのかを周囲に知らしめる場になることもあります。

地域社会との繋がりは、中小企業が円滑に事業を進めるために必要不可欠です。イベントを企画して地域との交流や地域活性化に働きかけることは、地域社会の中でより事業を進めやすくするためにも有効的といえます。

採用に活用できるから

次章でもご説明していますが、環境教育は地域社会や公的機関、学校などと共同で行うこともできます。大学や専門校などと共同で環境に関するイベントを開催することにより、自社と学生・学校との間に関係が生まれ、自社への関心を育てる環境を作ることが可能となるのです。

イベントを企画する社員側も、環境への理解を深めたり、学生を呼び込む方法について考えたりする良い機会となるでしょう。採用面と社内のモチベーションアップのどちらも狙える環境イベントは、中小企業にとってメリットばかりといえます。

プロモーションやブランディングに繋がる

環境教育は、自社社員に向けた学習・研修に留まらず、コミュニケーション手段として地域や学校で行うことができることを前述しました。ほかにも、広く一般社会に向けた運動・キャンペーンなど、工夫次第では活動そのものでユーザーと繋がるきっかけにすることも可能です。

さらに、社内で行っている環境教育を自社サイトやメディアでアピールすることにより、会社の方針に賛同するユーザーからの支持を得る可能性が高まります。このように、本業とは異なる活動実績から企業にファンがつくことはよくあることです。

環境教育・環境貢献を自社製品やサービスのプロモーションや、企業ブランディングに繋げることで、社内の環境への意識はより高まり、外部への認知度・イメージ向上にも繋がります。

【取り組み事例紹介】企業にできる環境教育とは?

セミナー・勉強会

セミナーや勉強会の開催は、すぐにでも実現できる環境教育活動です。専門家を招いて、環境課題について社員・従業員に学びを促します。身近なところでは、リサイクルや脱炭素の基本的な知識が学べるセミナーなどがおすすめです。

一方、環境教育は環境保全に関わるテーマだけではなく、環境と経済とのつながりの分野も含むため、ビジネスと環境を絡めたテーマで講演を開催することも可能です。せっかくの機会なので、商品・サービス開発面でヒントになるようなセミナーを開いてみるのも良いかもしれません。

清掃活動

自社の日課として行う以外にも、地域社会との環境コミュニケーションの一環として定例イベント的に清掃活動を行うことは大変有意義です。街の美化はもちろん、ゴミの削減への意識向上にも役立ちます。

ゴミの廃棄には通常多くのCO2排出を伴うので、ゴミ拾いなどを通じてゴミを減らすことの重要性を学べば、脱炭素への理解を深めることもできるでしょう。

学生を対象とした環境イベントやコンテスト

環境教育イベントは、大学生など就職活動を控えた若者を対象とすると、また別のメリットが生じます。若い世代への環境保全に対する啓蒙活動となるのはもとより、学生たちが主体的に関心のある課題を掘り下げたり、アイデア出しをしたりする機会を提供することが可能となるのです。

環境課題に役立つアイデアをはじめ、アートやプロダクトなどの作品展やコンクール、作文やネーミングのコンペなどを行えば、会社の認知度やイメージアップのほか、学生との繋がりができ、学生たちが入社希望を抱いてくれるきっかけにもなり得るでしょう。学生と合同で行う環境教育活動はリクルート活動への導線作りとしても効果的なのです。

まとめ:中小企業には環境教育×脱炭素×ブランディングが強みとなる

環境教育は、企業も含めたあらゆる立場の人が持続可能な社会を目指すために実践すべきものとされています。中小企業のカーボンニュートラルが喫緊の課題となっている今、脱炭素を推進するためにも、自社が環境に対する取り組みを行っていることを社会にアピールするためにも、ぜひ環境教育を率先して行ってみてください。

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この記事を書いた人

Dステ編集部は、編集長であるDuoPartnerDesignの松口を中心に、環境教育を履修・資格取得したメンバーで構成されています。環境問題とビジネスの関係や、SDGsに対する幅広い情報・知識を、できるだけ専門用語を使わずわかりやすい言葉で皆様に共有します。また、こうした情報・知識をいかにして企業の広報やブランディングと繋げていくのかを常に考え、役立つコンテンツとして発信していく考えです。

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